通夜なしの葬儀(一日葬)は非常識?増えている理由と家族への伝え方

村瀬あかりのコラム
村瀬あかり|元葬儀ディレクター・葬祭ディレクター1級 プロフィールアイコン

村瀬 あかり葬祭ディレクター1級

葬儀業界歴11年。「通夜なしにしたいんですが、おかしいですか?」という問いに何度も向き合ってきました。この記事はその答えです。

先入観アップデートシリーズ

「通夜なしにしたいんですが、非常識ですよね?」

そう遠慮がちに聞いてくるご遺族に、何度もお会いしました。でも、現実を見てください。

2024年、首都圏の葬儀の約4割が通夜なしの一日葬です。非常識どころか、すでに定着した選択肢のひとつです。この記事では、通夜なし葬儀がなぜ増えているのか・どう家族に伝えるか・注意すべきことは何かを、現場経験から正直にお伝えします。

この記事のポイント
  • 現状2024年、首都圏の葬儀の約4割が通夜なし(一日葬)です。コロナ後も減らず定着しています。
  • 非常識か?非常識ではありません。遺族・参列者の負担軽減を目的とした、現代に合った選択肢です。
  • 注意点①菩提寺がある場合は事前に相談が必要。通夜を省略することを認めない寺院もあります。
  • 注意点②親族の中に「葬儀は2日で当然」と思っている方がいる場合、事前に丁寧な説明が必要です。
  • 費用通夜なしにしても費用が半額になるわけではありません。主に通夜振る舞いの飲食費が減る程度です。

そもそも「通夜」はなぜあるのか

通夜とは本来、故人の最後の夜に遺族が故人のそばで過ごす「夜伽(よとぎ)」の習慣から生まれたものです。「故人と最後の夜を共に過ごす」という意味がありました。

やがて一般参列者が弔問する場として定着し、「通夜=お世話になった方々にお別れをしていただく日」「告別式=正式なお別れの儀式の日」という2日構成が一般的になりました。

しかし家族葬が主流になった現代では、「一般参列者を呼ばないなら、通夜を設ける意味が薄れる」という考え方が自然に生まれてきました。これが一日葬増加の最も根本的な理由です。


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通夜のそもそもの意味は「故人の傍らで夜を過ごすこと」です。家族だけで行うなら、その本来の意味はむしろ告別式より通夜の方が近い。でも「儀式としての通夜」が省かれても、「故人と最後の夜を過ごす」という本質は、前日の安置の時間で十分に果たせます。


通夜なし(一日葬)が増えている5つの理由
  1. 01

    家族葬が主流になり、通夜の役割が薄れた

    通夜は一般参列者が弔問する場として機能していました。家族・親族のみの家族葬では、一般弔問客がいないため「通夜振る舞いを用意する必要がない=通夜を省いても自然」という流れが生まれました。特に関東で先に広がり、全国へ波及しました。

  2. 02

    コロナ禍をきっかけに「短い葬儀」が定着した

    2020〜2022年のコロナ禍で、人数制限・接触制限のために一日葬が急増しました。コロナが落ち着いた後も、「短くても満足できた」という経験から一日葬が定着し、2024年の首都圏でも約4割がこの形式を選んでいます。

  3. 03

    遺族・参列者の体力的・精神的負担の軽減

    大切な人を亡くした直後の2日間は、遺族にとって心身ともに過酷です。特に高齢の参列者が多い場合、2日連続の葬儀への参列は体への負担が大きい。1日で完結できることで、遺族も参列者も少し楽になれます。

  4. 04

    仕事・生活の事情で2日間の確保が難しい

    「1日なら仕事を休めるが2日は難しい」という参列者が増えています。特に遠方の親族がいる場合、「1日で完結する葬儀」の方が都合がつきやすいケースが多いです。

  5. 05

    故人の意向を尊重する動きが広がった

    「シンプルに送ってほしい」「手間をかけないでほしい」というエンディングノートや口頭での希望を残す方が増えています。故人の意志を反映した葬儀として、一日葬が選ばれるケースが増えています。


データで見る「通夜なし」の現状
時期一日葬の割合(首都圏)背景
コロナ前少数派一般葬・家族葬(二日葬)が主流
2022年4割超コロナ禍での人数制限で急増
2023年過半数コロナ禍のピーク
2024年約4割コロナ後も高水準で定着

※上記はむすびすなど首都圏の葬儀社の実績データを参考にした目安です。地域・葬儀社によって異なります。埼玉県(所沢市・三郷市エリアを含む)での一日葬選択率も同様に高い傾向があります。


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コロナ前は「通夜なし」と聞いただけで眉をひそめる方がいました。でも今は違います。「そういう選択もあるよね」という空気が完全に変わった。現場で感じています。葬儀の形は時代とともに変化します。「昔はこうだった」は、今の正解ではありません。


家族・親族への伝え方

一日葬を選ぶ際に最も多い悩みが「親族への説明」です。「葬儀は2日でやるものだ」と考えている年配の親族から反対される場合があります。以下の伝え方を参考にしてください。

伝え方①:故人の意向として説明する

「父(母)が生前、シンプルに送ってほしいと言っていたので、一日葬にします」という伝え方は最も理解を得やすいです。故人の意思を尊重した選択であることを明確にします。

伝え方②:参列者への配慮として説明する

「高齢の方が多く、2日間お越しいただくのは負担が大きいと考え、1日でまとめることにしました」という説明は、参列者への気遣いとして受け取ってもらえます。

伝え方③:事実(普及状況)を伝える

「最近は首都圏の葬儀の4割近くが一日葬です。珍しい選択ではなくなっています」と、データを示すことで「非常識ではない」という安心感を与えられます。

伝え方④:告別式に集中する丁寧な式を約束する

「通夜はしませんが、告別式はきちんと行います。一日葬でも、故人とのお別れの時間はしっかり確保します」と伝えることで、「手を抜いた葬儀ではない」という安心感を与えられます。


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親族への説明で大切なのは「決定してから報告」ではなく「相談しながら決める」姿勢です。事後報告ではなく、事前に「一日葬を考えているのですが」と相談することで、反発が大きく減ります。一日葬を選ぶ理由を丁寧に伝えれば、ほとんどの場合理解してもらえます。


一日葬(通夜なし)を選ぶ際の注意点

①菩提寺への事前確認が必須

仏教では通夜・告別式・火葬という流れを重視する考え方があり、通夜省略を認めない寺院もあります。菩提寺がある場合は、一日葬を選ぶ前に必ず相談してください。許可を得ないまま進めると、後々の納骨に支障が出る可能性があります。


②費用が「半額」になるわけではない

「2日が1日になるから費用が半額になる」は誤解です。棺・祭壇・搬送費などの基本費用は変わりません。節約できるのは主に通夜振る舞い(夜の飲食)分で、数万円程度の差にとどまります。費用削減が目的なら直葬の方が効果的です。


③後日弔問への対応を事前に決めておく

通夜なしにすると、参列できなかった人が後日自宅へ弔問に来るケースが増えます。弔問を受け入れるか・辞退するかの方針を事前に決め、訃報の連絡に明記しておくことが大切です。


④式場の使用料が2日分になる場合がある

告別式の前日から式場に遺体を搬入する場合、式場によっては2日分の使用料が発生することがあります。葬儀社に事前に確認しておきましょう。


よくある質問

Q. 通夜なしは「故人がかわいそう」ではないですか?

そうではありません。通夜がないことで「故人に寄り添う時間が減る」わけではありません。告別式でしっかりとしたお別れの時間を確保できますし、前日の安置の時間に家族でそばにいることもできます。形式の長さよりも、故人への気持ちの方が大切です。

Q. 通夜なしにしたら、参列できない人が出ませんか?

1日のみの日程になるため、都合のつかない方が出る可能性はあります。事前に参列希望者のスケジュールを確認しておくか、後日お別れの会を設けることで対応できます。訃報を伝える際に日程を明確に伝え、都合が悪い方には別途連絡することが大切です。

Q. 所沢市・三郷市でも一日葬は一般的ですか?

一般的です。埼玉県での一日葬選択率は約32.8%(2024年調査)と全国でも高い水準にあります。所沢市斎場・三郷市斎場はいずれも一日葬に対応しており、地域の葬儀社も豊富な実績を持っています。

Q. 一日葬でも四十九日法要はしますか?

一日葬を選んだ場合でも、四十九日法要は一般的に行います。特に菩提寺がある場合は、四十九日法要後に納骨を行うケースがほとんどです。四十九日法要については葬儀社または菩提寺に相談してください。

Q. 「通夜なしにしたい」と家族に言ったら反対されました。どうすればよいですか?

まず反対している方の理由を丁寧に聞いてみてください。「非常識だから」という感情的な反対であれば、現状のデータや一日葬の実態を説明することで理解を得やすくなります。「故人とのお別れの時間が減るから」という懸念であれば、告別式でしっかりした式を行うことを伝えましょう。最終的に家族全員が納得した形を選ぶことが最も大切です。


まとめ

通夜なしの一日葬は、非常識でもなく、手を抜いた葬儀でもありません。首都圏では約4割の方が選ぶ、現代に合った葬儀形式のひとつです。

  • 家族葬の普及とコロナ禍をきっかけに、一日葬は一般的な選択肢として定着した
  • 菩提寺がある場合は必ず事前に相談する
  • 費用が半額になるわけではない。主に通夜振る舞いの飲食費分が節約できる程度
  • 家族・親族には事前に理由を丁寧に説明することで、ほとんどの場合理解を得られる
  • 「告別式でしっかりお別れする」という姿勢を示すことが反対を減らすカギ

村瀬あかり|元葬儀ディレクター・葬祭ディレクター1級 プロフィールアイコン 村瀬あかり

「1日なのに、ちゃんとお別れできた」という言葉を、一日葬のご遺族から何度も聞きました。通夜の有無ではなく、その1日にどれだけ誠実に向き合えたかが大切です。形式に縛られず、家族にとって最善の形を選んでください。


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この記事を書いた人

村瀬 あかり

葬祭ディレクター1級。元株式会社Actrelation(市民典礼)三郷エリア担当。葬儀業界歴11年。著書「お坊さんも呼ばなかった。」

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