「親戚は全員呼ばないといけないんですよね?」
そう聞いてくるご遺族の言葉の裏に、いつも複雑な事情が見えます。疎遠になった親戚、関係がうまくいっていない家族、故人が静かに見送られることを望んでいたケース——。
結論から言います。親戚を呼ばない葬儀は、できます。「家族だけで見送る」という選択は、決して非常識ではありません。ただし、後々のトラブルを防ぐために知っておくべきことがあります。この記事では、現場経験11年の元葬儀ディレクターが正直にお伝えします。
- 結論親戚を呼ばない葬儀は可能です。参列者の範囲に法律上の決まりはありません。
- 呼ぶ範囲家族葬の平均参列人数は22.3名(2024年/鎌倉新書)。2親等以内を目安とするケースが多いです。
- よくある後悔「呼ばなかった親戚から後日非難された」が最多トラブル。「迷ったら呼ぶ」が鉄則です。
- 防ぎ方呼ばない方針を事前に家族全員で共有し、「故人の意向」として説明することが最も効果的です。
- 後日対応葬儀後に書面または電話で丁寧に報告し、弔問の受け入れ方針を事前に決めておくことが大切です。
近年、親戚を呼ばない・限定的な家族葬を選ぶ方が増えています。その背景にはさまざまな事情があります。
- 故人の意向:「親戚に迷惑をかけたくない」「静かに見送ってほしい」という生前の希望
- 親戚との関係:疎遠になっている・関係が良くない・絶縁状態の親戚がいる
- 遺族の体力的・精神的配慮:大人数への対応が体力的・精神的に難しい高齢の喪主
- 費用の問題:参列者が多いと飲食費・返礼品費がかさむ
- 故人との縁が薄い:長年交流がなく、実質的なつながりがほとんどない
- 地理的な問題:遠方の親戚に無理をさせたくない
家族葬に呼ぶ参列者の範囲に法律上の決まりはありません。2024年の調査によると、家族葬の平均参列人数は22.3名(鎌倉新書)で、一般葬の平均73.5名の約3分の1です。
| 親等 | 該当する親族 | 呼ぶ・呼ばないの目安 |
|---|---|---|
| 1親等 | 父母・配偶者・子・配偶者の父母・子の配偶者 | 原則として呼ぶ |
| 2親等 | 祖父母・兄弟姉妹・孫・配偶者の祖父母・兄弟姉妹の配偶者 | 基本的に呼ぶ(家族葬の標準範囲) |
| 3親等 | 曾祖父母・おじ・おば・甥・姪など | 故人との関係・交流の有無で判断 |
| 4親等以上 | いとこ・その配偶者など | 交流がなければ呼ばないケースが多い |
- 生前の交流の深さ:血縁より「故人と最後に会ったのはいつか」を重視する
- 故人の意向:エンディングノートや口頭での希望があれば最優先
- 同じ距離感の親戚は同じように扱う:「Aを呼んでBを呼ばない」は不満の原因になりやすい
- 迷ったら呼ぶ:「呼んで後悔」より「呼ばずに後悔」の方が多い
「同じ距離感の親戚は同じように扱う」はとても重要なポイントです。叔父Aを呼んで叔父Bを呼ばなかった、というケースは必ずトラブルになります。呼ぶか呼ばないかは距離感で統一し、「いとこは全員呼ばない」など境界線を明確にしておくことが大切です。
親戚を呼ばない・限定的な家族葬でよく起きるトラブルと、その防ぎ方を整理します。
⚠ トラブル①:「なぜ呼んでくれなかったのか」と非難される
家族葬で最も多いトラブルです。葬儀後に「なぜ自分だけ呼ばれなかったのか」と連絡が来るケースが後を絶ちません。
防ぎ方:葬儀後すぐに書面または電話で丁寧に報告する。「故人の意向で家族のみで行いました」という説明が最も理解を得やすいです。
⚠ トラブル②:「なぜAは呼ばれてBは呼ばれなかったのか」という不満
同じ親等・同じ距離感の親戚間で呼ぶ・呼ばないにムラがあると、必ず不満が出ます。
防ぎ方:参列範囲の基準を明確に決め、同じ立場の人は同じように扱う。「2親等まで」「兄弟姉妹まで」など線引きを明確にしておく。
⚠ トラブル③:呼ばなかった親戚が突然来てしまう
「家族葬だと聞いたが、どうしてもお別れしたい」と葬儀当日に現れるケースがあります。
防ぎ方:呼ばない方には葬儀の日時・場所を伝えない。訃報連絡の際に「家族のみで執り行います」と明記する。
⚠ トラブル④:葬儀後の弔問対応が長期化して疲弊する
参列できなかった親戚・知人が後日次々と自宅へ弔問に来て、遺族が疲弊するケースがあります。
防ぎ方:弔問を受け入れるか辞退するかを事前に決め、訃報の連絡に「ご弔問はご遠慮いただいております」と明記しておく。
⚠ トラブル⑤:葬儀形式(無宗教・戒名なしなど)への批判
「お坊さんを呼ばなかった」「戒名をつけなかった」ことを後から批判される場合があります。
防ぎ方:「故人の希望でした」という説明と、事前に近しい親族に形式を伝えておくことが重要。菩提寺がある場合は必ず事前に相談する。
呼ばない親戚への連絡は、タイミングと方法が重要です。2つの選択肢があります。
謹啓
このたび、父 ○○(享年○○歳)が○月○日に永眠いたしました。
故人の遺志により、葬儀は家族のみにて執り行いました。本来であればご連絡申し上げるべきところ、事後のご報告となりましたことを深くお詫び申し上げます。
生前中はひとかたならぬご厚情を賜りまして、誠にありがとうございました。
なお、ご弔問・ご香典はご辞退申し上げております。どうかご了承いただけますようお願い申し上げます。
令和○年○月 ○○(差出人名)
事後報告でも、「遅かった」より「丁寧だった」という印象の方が相手に残ります。電話一本でも、メールより手紙の方が誠意が伝わります。葬儀後のフォローを丁寧にすれば、呼ばなかったことへの不満はかなり和らぎます。逆に、事後報告が遅れたり雑だったりすると、長期間のトラブルに発展します。
参列できなかった親戚・知人が後日自宅へ弔問に来ることがあります。受け入れるか辞退するかを事前に決め、訃報の連絡に明記しておくことが、遺族の疲弊を防ぐ最大の手段です。
| 方針 | 伝え方 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 弔問を受け入れる | 「○月○日以降であればお越しいただけます」など日程を明示 | 比較的体力があり、来訪者を迎えられる遺族 |
| 弔問を辞退する | 「ご弔問はご遠慮いただいております」と訃報に明記 | 高齢・体調不良の遺族、対応が困難なケース |
| 後日お別れの会を開く | 「後日改めてお別れの機会を設けます」と案内 | 故人の交友関係が広く、多くの人にお別れをしてほしいケース |
Q. 兄弟姉妹だけ呼んで、それ以外の親戚は呼ばない選択はできますか?
できます。2親等(兄弟姉妹・祖父母・孫)までを参列の基準にする家族葬は一般的です。ただし、同じ2親等の中で呼ぶ・呼ばないにムラが出ると不満の原因になります。「兄弟は全員呼ぶ」など、一貫した基準を持つことが大切です。
Q. 絶縁状態の親戚には連絡しなくてよいですか?
絶縁状態であれば連絡しない選択も可能です。ただし、後から「知らなかった」ということで関係がさらに悪化するリスクがあります。事後に「葬儀を終えた」旨だけ書面で伝えておく方が、後々のトラブルを防げる場合が多いです。
Q. 親戚を呼ばなかったら香典はどうなりますか?
参列者が少ない分、香典収入が減ります。一般葬では参列者からの香典が葬儀費用の一部をまかなうことがありますが、家族のみの葬儀ではその分を自己負担することになります。参列しない親戚から現金書留で香典が届く場合もありますので、受け取るかどうかの方針を事前に決めておきましょう。
Q. 故人が「親戚を呼ばないでほしい」と言っていた場合、その通りにしてよいですか?
故人の遺志は最優先されるべきです。「故人の希望でした」という説明は親族への最も説得力ある伝え方でもあります。エンディングノートや録音・メモなどが残っていれば、それを示すことでより理解を得やすくなります。
Q. 所沢市・三郷市で家族のみの葬儀はできますか?
できます。所沢市斎場・三郷市斎場は少人数の家族葬にも対応しており、市民典礼などの葬儀社は家族のみの直葬・一日葬・家族葬すべてに対応しています。参列者が数名でも、しっかりとした式を行えます。
親戚を呼ばない葬儀は可能であり、非常識でもありません。ただし、後々のトラブルを防ぐために押さえておくべきポイントがあります。
- 参列者の範囲に法律の決まりはない。2親等以内を目安にするケースが多い
- 「迷ったら呼ぶ」が現場の鉄則。呼ばなかった後悔の方が圧倒的に多い
- 同じ距離感の親戚は同じように扱う。ムラがあると必ず不満が出る
- 呼ばない方には葬儀の日時・場所は伝えない
- 葬儀後の事後報告は早く・丁寧に。書面の方が誠意が伝わりやすい
- 後日弔問の受け入れ方針を事前に決めておく
「家族だけで送れてよかった」と話してくれるご遺族は多いです。一方で「親戚を呼ばなかったことが後々まで尾を引いた」という声も聞きます。大切なのは、呼ぶかどうかの決断よりも、その後の対応の丁寧さです。形式より、誠意のある対応が人間関係を守ります。
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「親戚を呼ばなければ」という思い込みの裏には、「呼ばないと何か言われる」という恐れがほとんどです。でも現場で見てきた限り、呼ばれた方が「なぜ呼んでくれた?」と怒ることはほぼありません。怒るのは呼ばれなかった方です。だから迷ったら呼ぶ、が現場の鉄則です。