白い菊だけじゃない。季節の花で作る祭壇と故人らしいお別れ

村瀬あかりのコラム
村瀬あかり|元葬儀ディレクター・葬祭ディレクター1級 プロフィールアイコン

村瀬 あかり葬祭ディレクター1級

葬儀業界歴11年。「祭壇は白い菊でなければいけませんか?」という問いに、現場で何度も答えてきました。その答えをここに書きます。

先入観アップデートシリーズ

「祭壇の花は白い菊でないといけないんですよね?」

そう聞いてくるご遺族に、毎回同じようにお答えします。「そんなことはありません」と。

故人がバラが好きだったなら、バラを。ひまわりが好きだったなら、ひまわりを。桜の季節に亡くなったなら、桜を。葬儀の祭壇に使ってはいけない花は、基本的にありません。この記事では、生花祭壇の選び方・費用・季節の花の使い方・実例を現場経験からお伝えします。

この記事のポイント
  • 先入観「祭壇は白い菊でなければ」は思い込みです。使ってはいけない花は基本的にありません。
  • できること故人が好きだった花・色・趣味のモチーフを祭壇に取り入れられます。赤いバラでも問題ありません。
  • 費用相場生花祭壇の費用は20万〜80万円程度。白木祭壇より高めですが、供花を組み込むことで費用を抑えられます。
  • 季節の花季節の花を選ぶと費用を抑えられます。季節外れの花を希望する場合は仕入れコストが上がります。
  • 相談のコツ「故人の好きな花・色・趣味」を葬儀社に伝えるだけで、オリジナルの祭壇を提案してもらえます。

なぜ「白い菊」が定番になったのか

白い菊が葬儀の祭壇に使われるようになったのは、日本の仏教的な慣習と高度成長期の葬儀の大規模化が背景にあります。菊は「高貴・長寿」を象徴する花とされ、白は「清浄・無垢」を意味することから、仏式葬儀の祭壇に定着しました。

ただしこれは「習慣」であり、「ルール」ではありません。現代の生花祭壇では、菊だけでなく色とりどりの花を自由に組み合わせることが一般的になっています。


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「亡くなった父がバラが大好きだったんですが、バラは葬儀には使えないんですよね?」と聞かれたことがあります。「使えますよ」と答えたとき、ご遺族の表情がぱっと明るくなりました。知らないだけで、選択肢は最初から開かれていたんです。


祭壇に使える花・注意が必要な花

葬儀の祭壇に使う花に、厳格なルールはありません。ただし、いくつか実務上の注意点があります。

✓ 使える花(代表例)

白菊 カーネーション ユリ バラ(トゲを取って) ひまわり 胡蝶蘭 トルコギキョウ スプレーマム かすみ草 桜(枝ごと) ガーベラ アンスリウム 故人の好きな花なら何でも相談可

⚠ 実務上の注意点

  • バラのトゲ:棺への花入れ時に怪我をしないよう、葬儀社が事前にトゲを取り除いて使用します。「バラは使えない」は古い情報です
  • 強い香りの花:スイートピーなど香りが強い花は、式場や参列者への配慮から避けるケースがあります
  • 季節外れの花:故人が好きだった花でも、旬でない時期は仕入れコストが上がります(後述)
  • 造花・プリザーブドフラワー:生花祭壇の場合は生花が前提。仕様によって異なるため葬儀社に確認を

生花祭壇でできる「故人らしさ」の表現

生花祭壇の最大の魅力は、花の種類・色・デザインで「その人らしさ」を表現できることです。

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好きな花をメインにする

バラが好きだった方にはバラを。ひまわりが好きだった方にはひまわりを。赤・ピンク・黄色など色も自由に選べます。祭壇を見た参列者が「あの人らしい」と感じる祭壇になります。

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季節の花で送り出す

春に亡くなったなら桜を枝ごと飾る、秋に亡くなったならコスモスや菊をふんだんに。「あの季節の花に見送られた」という記憶は、遺族の心に長く残ります。

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趣味や好きなものをモチーフにする

山登りが好きだった方には山のシルエット、サイクリングが趣味だった方には自転車と緑の草を組み合わせたデザイン、カラオケが好きだった方には音符のモチーフなど、生花でテーマを描くことができます。

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好きな色で統一する

「とにかく青が好きだった」「ピンクが好きだった」という場合、色で統一した祭壇を作れます。白を基調にせず、故人のイメージカラーで仕上げることが可能です。


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担当した葬儀の中で、バラと河津桜を組み合わせた春らしい生花祭壇がとても印象的でした。「しきたりより、明るいお葬式を」という故人の希望を形にしたもの。参列者の全員が「あの人らしい」と話していました。祭壇の花は、故人が最後に語りかける言葉だと思っています。


生花祭壇の費用相場

生花祭壇の費用は規模・花の種類・デザインによって大きく異なります。一般的な相場は20万〜80万円です。

祭壇の種類費用目安特徴
白木祭壇 10万〜30万円 伝統的な仏式祭壇。荘厳な雰囲気。花の選択肢は少ない
生花祭壇(小〜中) 20万〜50万円 花の種類・色・デザインを自由に選べる。家族葬に多い
生花祭壇(大) 50万〜80万円以上 大規模な式・複雑なデザイン・希少な花を使う場合
折衷祭壇 30万〜60万円 白木祭壇に生花を加えた形式。荘厳さと華やかさを両立

費用を抑えるポイント
  • 季節の花を選ぶ:旬の花は仕入れコストが低く抑えられます。桜を冬に・ひまわりを春に使いたい場合は費用が上がります
  • 供花を祭壇に組み込む:参列者からの供花(供花料7,500〜15,000円/基)を祭壇の花に組み込むことで、喪主の祭壇費用を抑えながら豪華さを演出できます
  • シンプルなデザインにする:複雑なモチーフや特殊な花を使わず、シンプルな色合いと構成にすることでコストを下げられます

所沢市・三郷市エリアでの生花祭壇について

所沢市・三郷市エリアで活動する市民典礼(株式会社Actrelation)は、季節の生花を使ったオリジナル祭壇に対応しています。「故人の好きだった花を使いたい」「白い菊以外にしたい」という希望も、当然のこととして受け止めてもらえます。

式場の制約(所沢市斎場・三郷市斎場の式場規模)に合わせた祭壇提案もしてもらえます。公営斎場での生花祭壇を希望する場合は、葬儀社に事前に相談してください。


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Actrelation(市民典礼)で担当していたとき、「市斎場でも生花祭壇はできますか?」という問い合わせをよく受けました。もちろんできます。式場の大きさに合わせて、葬儀社がちゃんと提案してくれます。「公営だからシンプルにしかできない」ということはありません。


葬儀社への伝え方——これだけ言えばOK

生花祭壇を希望する場合、打ち合わせで以下を伝えるだけで、葬儀社が提案してくれます。

  1. 01

    「白木祭壇ではなく生花祭壇にしたい」と伝える

    最初に「生花祭壇を希望しています」と明示するだけで、葬儀社が選択肢を提案してくれます。

  2. 02

    故人の好きな花・色・趣味を伝える

    「バラが好きでした」「ひまわりの黄色が好きでした」「山登りが趣味でした」という情報だけで、フラワーデザイナーがイメージを膨らませてくれます。

  3. 03

    予算の目安を伝える

    「20〜30万円程度で」「費用はかかってもよいのでこだわりたい」など、予算感を伝えることで提案の幅が変わります。

  4. 04

    デザインの確認・修正をする

    提案されたデザインに対して「もう少し明るい色にしてほしい」「もっとバラを多くしてほしい」など要望を伝えられます。


よくある質問

Q. 仏式の葬儀でも生花祭壇は使えますか?

使えます。生花祭壇は宗教を問わず使用でき、仏式・神式・キリスト教式・無宗教葬いずれでも対応しています。仏式の場合でも、菊以外の花を使うことに宗教的な問題はありません。

Q. バラを祭壇に使うことはできますか?

できます。「バラのトゲは葬儀に相応しくない」という古い慣習がありましたが、現在では赤いバラを使った生花祭壇も実例があります。トゲは葬儀社が事前に取り除いて使用するため、棺への花入れ時に怪我をする心配もありません。

Q. 葬儀後、祭壇の花はどうなりますか?

告別式終了後、祭壇の花は「お別れ花」として棺の中に入れられます。故人と共に最後まで添い遂げる花になります。残った花はブーケにして遺族や参列者に渡したり、葬儀社が引き取る場合もあります。

Q. 季節外れの花はどのくらい費用が上がりますか?

花の種類・時期・仕入れ状況によって異なります。例えば冬にひまわり、夏に桜を用意するには温室栽培品や輸入品を使うため、旬の花に比べ1.5〜2倍以上の費用がかかることがあります。葬儀社に具体的な花を伝えて見積もりを確認するのが確実です。

Q. 市民典礼(Actrelation)は生花祭壇に対応していますか?

対応しています。市民典礼は季節の生花を使ったオリジナル祭壇を提供しており、「故人の好きな花を使いたい」「白い菊以外にしたい」という希望を当然のこととして受け止めてくれます。所沢市斎場・三郷市斎場での施行実績もあります。


まとめ:祭壇の花は「故人が最後に語りかける言葉」

葬儀の祭壇に使ってはいけない花は、基本的にありません。白い菊は「習慣」であり「ルール」ではありません。

  • 故人の好きな花・色・趣味のモチーフを自由に取り入れられる
  • バラ・ひまわり・桜など、どんな花でも相談可能
  • 生花祭壇の費用相場は20万〜80万円。供花を組み込むことで費用を抑えられる
  • 季節の花を選ぶと費用を抑えやすい
  • 葬儀社に「好きな花・色・趣味」を伝えるだけでオリジナル提案が受けられる

祭壇の花は、故人が参列者に語りかける最後の言葉です。白い菊でなければならない理由はありません。


村瀬あかり|元葬儀ディレクター・葬祭ディレクター1級 プロフィールアイコン 村瀬あかり

「白い菊しかダメと思っていたけど、好きな花で送り出せてよかった」という声を、生花祭壇にしたご遺族から何度も聞いてきました。祭壇の花がその人らしければ、参列者もその人らしいお別れができます。先入観を手放して、葬儀社に「好きな花があって……」と話してみてください。


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この記事を書いた人

村瀬 あかり

葬祭ディレクター1級。元株式会社Actrelation(市民典礼)三郷エリア担当。葬儀業界歴11年。著書「お坊さんも呼ばなかった。」

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