家族葬とは、参列者を家族・親族・ごく親しい友人に限定して行う小規模な葬儀形式です。通夜・告別式・火葬という流れは一般葬と同じですが、参列者を「招待制」にすることで、故人と関わりの深い人たちだけでゆっくりとお別れできます。参列者は10〜30名程度が多く、50名未満が公正取引委員会による家族葬の定義です。
- 定義家族葬は参列者を限定した小規模な葬儀。通夜・告別式・火葬は一般葬と同じ流れで行います。
- 費用相場全国平均は105.7万円(2024年/鎌倉新書)。一般葬(平均161.3万円)より約50万円安い傾向があります。
- 参列者「家族葬=家族のみ」は誤解。故人と親しかった友人・知人も参列できます。範囲の決め方が最大の悩みどころです。
- 注意点参列者が少ない分、香典収入も減ります。自己負担額を事前に見積もっておくことが重要です。
- 後日対応参列できなかった人への後日弔問・香典への対応方針を、事前に家族で決めておく必要があります。
家族葬は「参列者を限定した葬儀」であり、日数や儀式の有無ではなく参列者の規模で区別されます。
| 形式 | 通夜 | 告別式 | 参列者 | 費用目安 |
|---|---|---|---|---|
| 直葬 | なし | なし | 家族のみ数名 | 10万〜40万円 |
| 一日葬 | なし | あり | 家族・親族 | 30万〜50万円 |
| 家族葬 | あり | あり | 家族・親族・親しい友人 (10〜50名未満) |
25万〜100万円 |
| 一般葬 | あり | あり | 広く参列可能 | 100万円〜 |
家族葬の基本的な流れは一般葬と同じです。通夜・告別式・火葬という2日間の日程が標準です。
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01
臨終・葬儀社への連絡
病院などで臨終を迎えたら葬儀社に連絡します。遺体の搬送から始まります。この段階で「家族葬で行いたい」と伝えれば、規模に合わせた提案をしてもらえます。
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02
遺体の搬送・安置
自宅または葬儀社の安置室に遺体を搬送します。この間に葬儀社と日程・参列者の範囲・式の内容について打ち合わせを行います。
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03
参列者への連絡・訃報の伝え方を決める
家族葬では「参列をお断りする方」の連絡方法が重要です。葬儀後に「家族のみで執り行いました」と報告するケースが一般的です。事前に誰に伝えるか・伝えないかを家族で決めておきます。
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04
納棺
通夜の前日または当日に、故人を棺に納めます。家族で花を添えながら静かに行う大切な時間です。
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05
通夜(1日目)
夕方から夜にかけて通夜を行います。家族葬では通夜振る舞い(食事)を省略するケースも多く、参列者が少ない分、ゆったりとした時間が持てます。
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06
告別式・出棺・火葬・骨上げ(2日目)
翌日に告別式を行い、出棺・火葬・骨上げと続きます。精進落とし(火葬後の会食)は省略するケースもあります。
家族葬で最も悩む問題が「誰を呼ぶか」です。「家族葬」という名称から「家族だけ」と思われがちですが、故人と親しかった友人・知人も参列できます。
- 二親等以内の親族を基本にする(祖父母・兄弟姉妹・孫)
- 故人が特に親しくしていた友人・知人を加える
- 参列させるかどうか迷ったら呼ぶ:後から「なぜ呼んでくれなかったのか」というトラブルが多い
- 故人の遺言・希望がある場合は最優先する
参列をお願いしない方への連絡は、葬儀後に「家族のみで執り行いました」と報告するのが一般的です。会社関係・地域コミュニティなどへは、葬儀後に書面やメールで訃報を知らせます。
「あの人を呼ばなかった」というトラブルは家族葬で最も多い後悔のひとつです。迷ったら呼ぶ、が鉄則です。逆に「なぜ呼んでくれたのか」と怒る方はほとんどいません。線引きで悩むなら、まず葬儀社に相談すると経験則から的確なアドバイスをもらえます。
家族葬の費用総額の全国平均は105.7万円です(2024年/鎌倉新書)。一般葬の平均161.3万円と比べると約50万円安い傾向がありますが、参列者数や内容によって大きく変動します。
| 費用の種類 | 全国平均 | 備考 |
|---|---|---|
| 基本料金 (斎場・棺・祭壇・搬送など) | 72.0万円 | 参列者数が減っても固定費は大きく変わらない |
| 飲食費 (通夜振る舞い・精進落とし) | 17.1万円 | 人数分。省略するケースも多い |
| 返礼品費 | 16.5万円 | 参列者数に比例する |
| お布施 (別途・葬儀社費用に含まれない) | 21.5万円 | 宗派・戒名の有無で異なる。無宗教葬では不要 |
| 火葬料金 (別途・公営なら安価) | 5千〜20万円 | 公営(市民料金)は5,000円〜 |
⚠ 注意:参列者が少ない分、香典収入も減ります
一般葬では多くの参列者からの香典が葬儀費用の一部をまかなうケースがあります。しかし家族葬では参列者が少ない分、香典収入も少なくなります。「費用が安くなる」という期待と「自己負担額」のバランスを事前に確認しておくことが重要です。
「家族葬にしたのに費用が思ったより高かった」という相談は非常に多いです。棺・祭壇・式場の基本費用は参列者数とほぼ関係なく発生します。費用を大きく減らしたいなら一日葬や直葬の方が効果的です。家族葬の魅力は「費用の節約」よりも「ゆっくりとした時間」にあります。
✓ メリット
- 故人とゆっくりお別れできる:大勢の弔問客への対応が不要で、家族の時間を確保できる
- 精神的・肉体的負担が少ない:遺族が疲弊せず、故人を偲ぶことに集中できる
- 一般葬より費用を抑えやすい:飲食費・返礼品費が参列者数分で済む
- 故人の意向を反映しやすい:「身内だけで」という希望に応えやすい
- 無宗教・自由な演出も可能:少人数なので故人らしい個性的な葬儀にしやすい
✗ デメリット・注意点
- 香典収入が減る:自己負担が想定より増える場合がある
- 参列者の範囲決めが難しい:呼ぶ・呼ばないで親族間トラブルになることも
- 後日弔問への対応が必要:参列できなかった人が個別に自宅を訪問するケースが増える
- 知らせる範囲の調整が必要:会社・地域コミュニティへの連絡方法を決めておく必要がある
- 理解を得られない場合がある:地域・年代によっては「なぜ呼ばれなかったのか」という反応も
家族葬が終わった後、参列できなかった方が自宅へ個別に弔問に来るケースが増えます。これは家族葬ならではの課題で、事前に対応方針を決めておくことが重要です。
- 後日弔問を受け入れる:自宅での弔問を受け、香典・お供えを受け取る
- 弔問辞退を事前に伝える:「葬儀後のご弔問もご遠慮いただいております」と訃報に明記する
- お別れの会・偲ぶ会を開く:後日、広く参加者を招いた会を別途設ける
弔問を受ける場合は、香典返し・お茶の準備が必要になります。弔問が続くと遺族の体力・精神的負担になるため、辞退したい場合は最初から明示することが大切です。
「家族葬にしたら楽かと思ったら、後日の弔問対応で疲弊してしまった」というご遺族の声を聞くことがあります。弔問辞退の旨を訃報に明記しておくか、後日お別れの会を設けるかを事前に決めておくことが、遺族の負担を大きく変えます。
家族葬では香典を辞退するケースと受け取るケースに分かれます。どちらにするかを事前に決め、参列者に明示することが重要です。
| 方針 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 香典辞退 | 参列者の負担が減る。「お気持ちだけで」というスタンス | 香典収入がなくなる。全額自己負担になる |
| 香典受け取り | 葬儀費用の一部をまかなえる | 香典返しの準備が必要(香典の3分の1〜半額程度) |
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Q. 家族葬とは家族だけで行う葬儀ですか?
そうではありません。家族葬は「参列者を家族・親族・親しい友人に限定した葬儀」であり、家族だけが参列するとは限りません。故人と縁の深い方であれば、友人・知人も参列できます。参列者の範囲は喪主・遺族が決めます。
Q. 家族葬の費用は一般葬より安いですか?
一般葬より安くなる傾向がありますが、必ず安くなるわけではありません。棺・祭壇・搬送費などの基本費用は参列者が少なくても変わりません。節約できるのは主に飲食費・返礼品費(参列者数に比例する変動費)です。また参列者が少ない分、香典収入も減ります。全国平均は105.7万円(2024年調査)です。
Q. 親族を呼ばない家族葬はできますか?
できます。参列者の範囲に決まりはなく、子どもと配偶者だけで行う葬儀も可能です。ただし、後から親族に知らされた場合に「なぜ呼ばれなかったのか」という問題が生じることがあります。故人の遺志であることを明確に伝えるか、事後に丁寧に報告することが大切です。
Q. 家族葬でも香典は必要ですか?
遺族から「香典辞退」の連絡があった場合は持参しないのがマナーです。連絡がない場合は通常通り香典を用意します。家族葬でも一般葬と同じ金額が目安になります。参列する前に「香典についてはいかがすればよいですか?」と確認するのが最も丁寧です。
Q. 家族葬の後、参列できなかった人がお線香をあげに来た場合はどうすればよいですか?
弔問を受け入れる場合はお線香・茶菓子を用意して対応します。疲労や負担が心配な場合は「葬儀後のご弔問もご遠慮いただいております」と最初から明示する方法もあります。後日お別れの会を設けて一度にまとめて対応するという方法も有効です。
家族葬は参列者を限定した小規模な葬儀で、故人とゆっくりお別れできる点が最大の魅力です。費用・参列者の範囲・後日対応の3点を事前に整理しておくことが、後悔しない家族葬への近道です。
- 費用総額の全国平均は105.7万円。参列者が少なくても基本費用は変わらないことを理解しておく
- 「誰を呼ぶか」を事前に家族全員で話し合い、曖昧なまま進めない
- 参列できなかった方への後日弔問の対応方針を最初に決めておく
- 香典の受け取り・辞退の方針を参列者に明示する
家族葬が「正解」かどうかは、家族によって異なります。大切なのは、費用でも形式でもなく「この人たちに見送ってほしい」という故人の気持ちと「この形でよかった」という遺族の納得です。迷ったときは、その軸に立ち返ってください。



「家族葬にしたい」とご相談いただくとき、最初に必ず確認するのが「誰を呼ぶか決まっていますか?」という質問です。参列者の範囲を決めることが、家族葬の準備で一番時間のかかる、そして一番大切な作業です。