お坊さんを呼ばなくていい?無宗教葬を選ぶ前に知っておくこと

村瀬あかりのコラム
村瀬あかり|元葬儀ディレクター・葬祭ディレクター1級 プロフィールアイコン

村瀬 あかり葬祭ディレクター1級

葬儀業界歴11年。「お坊さんを呼ばなくていいですか」という言葉に、現場で何度も向き合ってきました。その問いへの答えをこの記事に書きました。

先入観アップデートシリーズ

「お坊さんを呼ばなくていいですか」

葬儀の打ち合わせで、遠慮がちにそう聞いてくるご遺族に、何度もお会いしました。多くの方が「呼ぶのが当然」と思い込み、本当は呼ばなくてもよい状況なのに、言い出せないでいます。

結論から言います。お坊さんを呼ばない葬儀は、何も問題ありません。ただし、知っておくべき注意点があります。この記事では、お坊さんなしの葬儀の実態・費用・式の組み方・菩提寺がある場合の対処法を、現場目線でお伝えします。

この記事のポイント
  • 結論お坊さんなしの葬儀は可能です。無宗教葬・自由葬として行えます。非常識でもありません。
  • 費用お布施(読経代+戒名料+お車代+お食事代)の相場は関東平均で約52万円。これが丸ごと不要になります。
  • 葬儀社費用お坊さんを呼ばなくても、葬儀社への費用は変わりません。会場・搬送・棺などの基本費用は同じです。
  • 注意点菩提寺がある場合は事前相談が必須。無相談で進めると納骨を断られるリスクがあります。
  • 式の組み方黙祷・音楽・映像・手紙・献花など、お坊さんなしでも十分に温かい式を作れます。

なぜ「お坊さんを呼ばなければ」と思い込むのか

日本では仏式葬儀が長く主流だったため、「葬儀=お坊さんが読経するもの」というイメージが根強く残っています。しかし現代では、信仰心の希薄化・菩提寺離れ・核家族化などを背景に、宗教にとらわれない葬儀を選ぶ方が増えています。

お坊さんなしの葬儀(無宗教葬・自由葬)は決して「手を抜いた葬儀」ではありません。故人の意思・家族の考え方に合った、ひとつの誠実な選択です。


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「お坊さんを呼ばなくていいですか」という質問のとき、みなさん決まって声が小さくなります。遠慮しているんです。「非常識と思われるんじゃないか」という不安が顔に出ています。でも、「大丈夫ですよ」と答えたとき、ほっとした表情になる方がとても多い。その安堵の顔を何度も見てきました。


お坊さんなしにすると何が変わるか

お坊さんあり(仏式)

  • 読経・法話がある
  • 焼香を行う
  • 戒名を授かる
  • お布施が必要(関東平均約52万円)
  • 式の流れが決まっている
  • 菩提寺のお墓に納骨しやすい

お坊さんなし(無宗教葬)

  • 読経・法話なし → 黙祷・音楽で代替
  • 焼香なし → 献花で代替
  • 戒名なし → 俗名のまま
  • お布施不要(大幅な費用節約)
  • 式の内容を自由に決められる
  • 菩提寺のお墓への納骨は要確認

※葬儀社への費用(会場・搬送・棺・スタッフ人件費など)はお坊さんを呼ぶかどうかに関わらず変わりません。節約できるのはお布施の分だけです。


お布施の相場——呼ばないと何円節約できるか

仏式葬儀でお坊さんに渡すお布施には、読経代・戒名料・お車代・お食事代が含まれています。相場は20〜60万円で、関東平均は約52万円です。お坊さんなしにすることで、この費用が丸ごと不要になります。

内訳相場
読経代(葬儀・告別式)10万〜30万円
戒名料30万〜100万円超(ランクによる)
お車代5,000円〜1万円
お食事代(御膳料)5,000円〜1万円
合計の目安20万〜60万円超(関東平均約52万円)

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お布施は「お気持ちで」と言われますが、葬儀費用全体の約半分を占めることもあります。特に戒名料は高額で、信士・信女でも30万円からが相場。これが不要になるのは、家計への影響として非常に大きい。お坊さんを呼ばない選択は「ケチ」ではなく、ひとつの合理的な判断です。


お坊さんなしでも温かい式はできる

「お坊さんがいないと間がもたない」という不安をよく聞きます。でも大丈夫です。読経・焼香の代わりに、以下のような要素で十分に温かい式を作れます。

  1. 01

    開式・黙祷

    司会者(葬儀社スタッフまたは家族)が開式の言葉を述べ、全員で黙祷を行います。1〜2分の黙祷は、読経と同じく厳かな時間になります。

  2. 02

    故人を偲ぶ時間(音楽・映像・スピーチ)

    故人の好きだった音楽をBGMに流す、生前の写真や映像をスライドショーで上映する、家族・友人がスピーチや手紙を読む——これらを組み合わせるだけで、仏式にも負けない感動的な式になります。

  3. 03

    献花

    焼香の代わりに献花を行います。参列者が一人ずつ花を手向けることで、お別れの時間を丁寧に作れます。故人の好きだった花を使うのもよい選択です。

  4. 04

    閉式・出棺

    閉式の言葉を述べ、出棺します。出棺時も故人の好きな音楽を流せます。シンプルだからこそ、故人の個性が滲む式になります。


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担当した無宗教葬の中で一番印象に残っているのは、太鼓好きだった故人が生前に叩いた太鼓の音をCDでずっと流した葬儀です。参列者の誰もが「あの人らしい」と口にしていた。読経はなかったけれど、あれは間違いなく最高のお別れでした。形式より、その人らしさ。それが無宗教葬の本質だと思っています。


菩提寺がある場合の注意点

お坊さんなしの葬儀を選ぶ前に、必ず確認しなければならないのが菩提寺(代々お世話になっているお寺)の有無です。

⚠ 菩提寺がある場合:無相談で進めると納骨を断られるリスクがあります

仏教の慣習では、読経なし・戒名なしで葬儀を行うことを認めない寺院があります。事前に相談せず無宗教葬を行ってしまうと、長年守ってきた菩提寺のお墓への納骨を永続的に断られるケースがあります。


菩提寺がある場合の3つの選択肢
選択肢1

事前に菩提寺へ相談し、理解を得る

「無宗教葬にしたい」と正直に伝えてみる。柔軟に対応してくれる寺院も増えています。「事後報告」ではなく「事前相談」が関係維持の鍵です。

選択肢2

火葬炉前のみ読経をお願いする(折衷案)

告別式は無宗教葬として行い、火葬炉の前でのみ菩提寺の僧侶に短い読経をお願いする折衷案。お布施は発生しますが、菩提寺との関係を保ちながら式を自由に作れます。

選択肢3

菩提寺のお墓への納骨を断念し、別の納骨先を探す

公営霊園・民営公園墓地・樹木葬・散骨・永代供養墓などは戒名不要で利用できます。菩提寺との関係を整理した上で、新しい納骨先を選ぶ選択肢です。


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「無宗教葬にしたら菩提寺に怒られた」という話を後から聞くことがあります。ほとんどの場合、事前に相談していれば違う結末になっていたと思います。お坊さんを呼ばない選択をするなら、まず葬儀社に相談してください。菩提寺との橋渡しをしてもらえます。


よくある質問

Q. お坊さんなしの葬儀は非常識ですか?

非常識ではありません。近年、無宗教葬・自由葬を選ぶ方は増えており、葬儀社も対応実績が豊富です。大切なのは、故人の意思や家族の意向に合った選択をすることです。

Q. お坊さんを呼ばなかったら成仏できませんか?

「成仏」は仏教的な概念です。故人が生前に「宗教的な葬儀は不要」と希望していたなら、その意思を尊重することも立派な弔いです。形式ではなく、家族が誠実な気持ちで見送ることが大切です。

Q. お坊さんなしにすると、葬儀社への費用も安くなりますか?

葬儀社への費用(会場・搬送・棺・スタッフ人件費など)は変わりません。節約できるのはお布施(読経代・戒名料など)の分だけです。ただしお布施の節約額は20〜60万円以上になる場合があり、費用削減効果は大きいです。

Q. 菩提寺がない場合はお坊さんなしで問題ありませんか?

問題ありません。菩提寺がない場合は、お坊さんを呼ばない無宗教葬を選んでも、納骨・法要などで困ることはほとんどありません。公営霊園・民営公園墓地・樹木葬などは戒名不要で利用できます。

Q. 所沢市・三郷市でお坊さんなしの葬儀に対応している葬儀社はありますか?

あります。市民典礼(Actrelation)などの葬儀社は無宗教葬・自由葬に柔軟に対応しています。所沢市斎場・三郷市斎場も宗旨宗派不問で利用でき、無宗教葬の式を行えます。


まとめ

お坊さんを呼ばない葬儀は、決して非常識ではありません。故人の意思と家族の状況に合った、誠実な選択のひとつです。

  • お坊さんなし(無宗教葬・自由葬)は可能。法律上の義務はない
  • お布施(関東平均約52万円)が不要になる。葬儀社への費用は変わらない
  • 黙祷・音楽・映像・献花で、温かく故人らしい式を作れる
  • 菩提寺がある場合は必ず事前相談。無相談で進めると納骨拒否のリスクがある
  • 迷ったら葬儀社に相談。菩提寺との橋渡しもしてもらえる

村瀬あかり|元葬儀ディレクター・葬祭ディレクター1級 プロフィールアイコン 村瀬あかり

「お坊さんを呼ばなくていいですか」——その問いを遠慮なく言える社会になってほしいと、現場で何度も感じてきました。著書のタイトルを「お坊さんも呼ばなかった。」にしたのも、そういう思いからです。あなたの家族に合った形を、堂々と選んでください。


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この記事を書いた人

村瀬 あかり

葬祭ディレクター1級。元株式会社Actrelation(市民典礼)三郷エリア担当。葬儀業界歴11年。著書「お坊さんも呼ばなかった。」

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