一日葬とは、通夜を省略して告別式と火葬を1日で行う葬儀形式です。従来の葬儀は1日目に通夜・2日目に告別式と火葬という2日間の日程が一般的ですが、一日葬では通夜をなくすことで、遺族・参列者の身体的・精神的負担を軽減できます。直葬とは異なり、告別式を行うため故人とのお別れの時間をしっかり確保できる点が特徴です。
- 定義一日葬は通夜を省略し、告別式と火葬を1日で行う葬儀形式です。直葬と異なり、告別式があるためお別れの時間を確保できます。
- 費用相場葬儀社への費用は30万〜50万円が目安。総額(お布施・飲食含む)は平均87.5万円です(2024年調査)。
- 選択率埼玉県での選択率は32.8%(2024年調査)。費用・時間の負担軽減を理由に選ぶ方が増えています。
- よくある誤解「2日→1日になるから費用が半額」は誤りです。基本費用は家族葬とほぼ同じで、節約できるのは主に通夜振る舞い分のみです。
- 注意点菩提寺がある場合は事前確認が必須です。通夜を省くことで納骨を断られるケースがあります。
一日葬と混同されやすい直葬・家族葬との違いを整理します。
| 形式 | 通夜 | 告別式 | 所要日数 | 費用目安 | お別れの時間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 直葬 | なし | なし | 1日 | 10万〜40万円 | 火葬炉前のみ (5〜10分) |
| 一日葬 | なし | あり | 1〜2日 | 30万〜50万円 | 告別式でしっかり |
| 家族葬 | あり | あり | 2日 | 25万〜70万円 | 通夜+告別式の2日間 |
| 一般葬 | あり | あり | 2〜3日 | 50万円〜 | 通夜+告別式の2日間 |
一日葬は以下の流れで進みます。「1日で完結」とはいえ、遺体の安置は前日から必要なため、実質的には2日間の準備が必要な場合があります。
-
01
臨終・葬儀社への連絡
病院などで臨終を迎えたら、まず葬儀社に連絡します。24時間対応の葬儀社がほとんどなので、深夜・早朝でも対応してもらえます。
-
02
遺体の搬送・安置(前日から)
自宅または葬儀社の安置室に遺体を搬送します。式場への移動は告別式前日になることが多く、この場合は式場使用料が2日分発生することがあります。事前に確認を。
-
03
納棺
故人を棺に納めます。家族で花を添えながら行うことも多く、静かなお別れの時間となります。告別式の前日または当日の午前中に行います。
-
04
告別式(一日葬の中心となる式)
一日葬の中心となる儀式です。参列者が会場に集まり、読経・焼香・弔辞・献花などを行います。通夜がない分、告別式が故人との最後のゆっくりしたお別れの場となります。
-
05
出棺・火葬
告別式終了後、火葬場へ出棺します。火葬場が式場と同一施設(公営斎場など)の場合は移動が不要です。火葬後に骨上げを行います。
-
06
精進落とし(会食)
骨上げ後に食事の場を設けることが多いですが、一日葬では省略するケースもあります。通夜振る舞いが不要な分、飲食費を抑えられます。
一日葬の費用は「葬儀社への基本費用」と「その他の費用」に分かれます。葬儀社への費用の相場は30万〜50万円ですが、お布施・飲食費を含めた総額の平均は87.5万円です(2024年/鎌倉新書調査)。
⚠ よくある誤解:「一日葬は家族葬の半額」は間違いです
「2日間の葬儀が1日になるから費用が半額になる」と思われがちですが、これは誤りです。棺・祭壇・搬送費・人件費などの基本費用は家族葬とほぼ変わりません。節約できるのは主に通夜振る舞い(通夜の食事)分のみです。また前日から式場に遺体を搬入する場合は2日分の式場使用料が発生することもあります。
| 費用の種類 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 葬儀社への基本費用 | 30万〜50万円 | 棺・搬送・安置・式場・人件費など |
| 火葬料金 | 5千〜20万円 | 公営か民営か・市民かどうかで大きく異なる |
| 飲食費(精進落とし) | 3千〜1万円/人 | 通夜振る舞いは不要 |
| 返礼品 | 2千〜5千円/人 | — |
| お布施(僧侶へのお礼) | 10万〜30万円 | 宗派・戒名の有無で異なる。無宗教葬では不要 |
※火葬料金は公営斎場(所沢市・三郷市は市民5,000円)を利用するかどうかで大きく変わります。公営斎場の活用は費用削減に有効です。
「一日葬にしたら費用が半額になると思っていた」という声は現場で何度も聞きました。見積もりを見て驚かれるケースが多いです。一日葬で節約できるのは主に通夜振る舞いの飲食費分。それ以外の基本費用はほとんど変わりません。費用が目的なら直葬の方が効果的です。一日葬は「費用節約」ではなく「負担軽減」のための選択として考える方が正確です。
一日葬を選ぶ前に、メリットとデメリットの両方を理解しておきましょう。
✓ メリット
- 遺族の身体的・精神的負担が少ない:大切な人を亡くした直後の2日間は心身ともに辛い。1日で済むことで少し楽になれる
- 参列者が集まりやすい:「この日だけ」と伝えられるため、仕事や遠方からの参列者の調整がしやすい
- 通夜振る舞いの費用が不要:通夜の飲食費・返礼品費分の節約になる
- 告別式でお別れの時間を確保できる:直葬と違い、参列者全員でゆっくりお別れができる
- 高齢の参列者に優しい:2日連続の拘束がなく、宿泊が不要になる場合が多い
✗ デメリット・注意点
- 費用が大幅に安くなるわけではない:基本費用は家族葬と大差ない
- 菩提寺から断られる可能性がある:通夜は宗教儀式のため、事前確認が必須
- 式場使用料が2日分になる場合がある:前日搬入が必要な場合
- 1日に詰め込まれるため当日は忙しい:準備・式・火葬まで1日で行うため余裕がない
- 参列できない人が出やすい:「今日だけ」という日程調整が難しい人もいる
菩提寺(代々お世話になっているお寺)がある場合は、一日葬を選ぶ前に必ず確認が必要です。仏教では通夜・告別式・火葬の流れを重視する考え方があり、通夜を省略した一日葬を認めない寺院もあります。
菩提寺がある場合の対処法は以下の通りです。
- まず菩提寺に相談する:一日葬を希望していることを正直に伝え、意向を確認する
- 菩提寺が認めない場合は家族葬(二日葬)を検討する
- 菩提寺がない場合:葬儀社経由で僧侶を手配するか、無宗教葬として行うことも可能
「一日葬にしたら菩提寺に怒られた」という相談を受けたことがあります。一日葬を希望するなら、必ず事前に菩提寺へ連絡してください。多くの場合、事前に相談すれば柔軟に対応してもらえます。事後報告では関係が難しくなることがあります。
- 遺族・参列者に高齢者が多く、2日間の拘束が難しい場合
- 遠方から来る参列者が多く、宿泊の負担を減らしたい場合
- 仕事などの都合で複数日程の確保が難しい人が多い場合
- 直葬では物足りないが、2日間の一般葬は負担が大きいと感じる場合
- 菩提寺がない、または一日葬に理解のある寺院とお付き合いがある場合
- 菩提寺が通夜の実施を求めている場合
- 社会的なつながりが多く、多くの人に参列してほしい場合
- 「ちゃんとした葬儀を」という強い思いがある家族がいる場合
- 費用を最大限に抑えることが最優先の場合(直葬の方が向いている)
所沢市・三郷市の公営斎場はいずれも一日葬に対応しており、市民は安価な火葬料金で利用できます。
| 斎場 | 市民火葬料金 | 式場 | 一日葬 |
|---|---|---|---|
| 所沢市斎場 | 5,000円 | 4室(40〜85名) | 対応可 |
| 三郷市斎場 | 5,000円 | 3室(30〜90名) | 対応可 |
どちらの斎場も式場と火葬場が同一施設内にあるため、一日葬の場合に出棺・移動の手間と費用が省けます。公営斎場を利用することで、葬儀社への費用のほかにかかる火葬料金を大幅に抑えられます。
Q. 通夜なしで故人は成仏できますか?
通夜を行わなくても故人の成仏に影響はありません。通夜は宗教的・慣習的な儀式であり、故人の魂の行方とは直接の関係はありません。ただし信仰する宗派によって考え方が異なるため、菩提寺がある場合は事前に相談することをおすすめします。
Q. 一日葬でも香典やお供えは必要ですか?
一日葬でも参列者からの香典やお供えは通常の葬儀と同様に受け取れます。家族のみで行う場合は香典のやり取りなしにするケースもあります。どうするかは事前に参列者に伝えておくとスムーズです。
Q. 一日葬でも初七日法要はできますか?
できます。火葬後に初七日法要を繰り上げて行う「繰り上げ初七日」は一日葬でも対応可能です。僧侶に依頼すれば、精進落としの席で合わせて行ってもらえます。
Q. 一日葬は「家族葬」と同じですか?
異なります。家族葬は「参列者を家族・親族に限定した葬儀」を指し、通夜あり・告別式ありの2日間が基本です。一日葬は「通夜を省略した1日の葬儀」を指します。家族葬を一日葬の形式で行うことは可能で、近年では「家族葬一日プラン」として提供している葬儀社も多くあります。
Q. 一日葬の費用は家族葬より安いですか?
大幅には安くなりません。棺・祭壇・搬送費などの基本費用は家族葬とほぼ同じです。節約できるのは主に通夜振る舞いの飲食費分で、数万円程度の差にとどまることが多いです。費用を大幅に抑えたい場合は直葬を検討してください。
一日葬は通夜を省略して告別式と火葬を1日で行う葬儀形式です。遺族・参列者の負担を軽減しながら、直葬よりもゆっくりしたお別れの時間を確保できる点が特徴です。
- 費用相場は葬儀社への費用で30万〜50万円。総額は平均87.5万円(2024年調査)
- 「1日になるから費用が半額」は誤解。基本費用は家族葬とほぼ変わらない
- 菩提寺がある場合は事前確認が必須
- 遺族・参列者の負担軽減が主な目的で、費用節約が目的なら直葬の方が向いている
一日葬を選んだご遺族から「1日なのに、しっかりお別れができた」という言葉を何度もいただきました。通夜がないことで後悔するのではなく、告別式に全力を注いだ結果です。形式の長さではなく、どれだけ丁寧に送り出せたかが大切だと、現場で確信しています。



一日葬を選ぶ方の多くは「遠方の親族に何日も来てもらうのが申し訳ない」「高齢の参列者の体力を考えると2日は辛い」という理由でした。費用が目的というより、参列者への配慮から選ばれるケースが現場では多かった印象です。