直葬(火葬式)とは、通夜・告別式などの宗教的儀式を行わず、火葬のみで故人を見送る葬儀形式です。「じきそう」または「ちょくそう」と読み、「火葬式」とも呼ばれます。参列者は家族・親族など近しい人のみで、短時間・低費用で完結するのが最大の特徴です。
- 定義直葬は通夜・告別式を行わず、火葬のみで送る最もシンプルな葬儀形式です。
- 費用相場葬儀社への費用は10万〜40万円が目安。火葬料金(公営0〜5万円)は別途必要です。
- 所要時間死後24時間の安置後、出棺・火葬・骨上げまで半日程度で完結します。
- 注意点菩提寺がある場合、後の納骨を断られる可能性があります。事前確認が必要です。
- 選択率全国平均は9.6%(2024年調査)。首都圏では葬儀全体の約1/3が直葬です。
直葬・一日葬・家族葬・一般葬の主な違いは以下の通りです。
| 形式 | 通夜 | 告別式 | 参列者 | 費用目安 | 所要日数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 直葬 | なし | なし | 家族のみ | 10万〜40万円 | 1日 |
| 一日葬 | なし | あり | 家族・親族 | 19万〜50万円 | 1〜2日 |
| 家族葬 | あり | あり | 家族・親族 | 25万〜70万円 | 2日 |
| 一般葬 | あり | あり | 広く参列可 | 50万円〜 | 2〜3日 |
直葬は以下の手順で進みます。通夜・告別式がない分、全体的にシンプルな流れです。
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01
臨終・葬儀社への連絡
病院などで臨終を迎えたら、まず葬儀社に連絡します。深夜・早朝でも24時間対応の葬儀社がほとんどです。病院から「早く移動を」と言われることがありますが、慌てず葬儀社に連絡することが最優先です。
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02
遺体の搬送・安置(24時間以上)
法律により死後24時間以内の火葬は禁じられています。自宅または葬儀社の安置室に遺体を搬送し、24時間以上安置します。安置中にドライアイスで遺体を保全します。
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03
死亡届の提出・火葬許可証の取得
死亡診断書をもとに死亡届を市区町村に提出し、火葬許可証を取得します。この手続きは葬儀社が代行してくれる場合がほとんどです。
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04
納棺・出棺
故人を棺に納めます。この際に花を添えたり、簡単なお別れの時間を設けることも可能です。納棺後、火葬場へ出棺します。
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05
火葬場での最後のお別れ
火葬炉の前で、家族で最後のお別れの時間を持ちます。希望すれば僧侶を呼んで読経をお願いすることも可能です(5〜10分程度)。
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06
火葬・骨上げ
火葬が完了したら、家族全員で骨上げ(収骨)を行います。これで直葬のすべての工程が完了です。初七日法要や会食は通常行いません。
直葬の費用は、葬儀社へ支払う費用と火葬場への費用に分かれます。葬儀社への費用の相場は10万〜40万円で、全国平均は約20万円です。火葬料金は別途必要です。
| 費用項目 | 相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 棺 | 3万〜5万円 | 素材・デザインにより異なる |
| 骨壺 | 5千〜3万円 | — |
| 安置費用 | 1万円/1日 | 葬儀社の安置室を使用する場合 |
| 寝台車(搬送) | 1万〜2万円 | 病院→安置場所への搬送 |
| 霊柩車 | 1万〜2万円 | 安置場所→火葬場への搬送 |
| ドライアイス | 5千〜8千円/1日 | 遺体保全のため |
| 死亡届代行・その他 | 1万〜3万円 | 手続き代行・人件費など |
| 火葬場の種類 | 市民料金の目安 | 市外料金の目安 |
|---|---|---|
| 公営火葬場(例:所沢市斎場) | 5,000円〜 | 60,000円〜 |
| 公営火葬場(例:三郷市斎場) | 5,000円〜 | 80,000円〜 |
| 民営火葬場(東京都内など) | 5万〜20万円程度 | 同額または割増 |
※火葬料金は住民票のある市区町村の公営斎場を利用するかどうかで大きく変わります。市民料金が適用されるかどうかを必ず確認してください。
「格安プラン」を謳う葬儀社の中には、棺や遺体搬送費が別料金になっているケースがあります。見積もりを取る際は「この金額に含まれていないものはありますか?」と必ず確認してください。追加料金の有無を最初に確認することが、後悔しない直葬の第一歩です。
直葬を選ぶ前に、メリットとデメリットの両方を理解しておくことが大切です。
✓ メリット
- 費用を大幅に抑えられる:一般葬の1/10以下になる場合もある
- 短時間で完結:遺族・参列者の体力的・精神的負担が少ない
- 弔問対応が不要:多くの参列者への対応がなく、家族だけで静かに過ごせる
- 準備が簡単:通夜・告別式の準備や段取りが不要
- 故人の希望を尊重しやすい:「シンプルに見送ってほしい」という意向に応えやすい
✗ デメリット・注意点
- お別れの時間が短い:火葬炉前の時間は5〜10分程度
- 菩提寺から納骨を断られる可能性がある:事前確認が必要
- 後から後悔する遺族がいる:「もっとゆっくり見送りたかった」という声も
- 参列できなかった人への対応が必要:後日の弔問・お別れの会を検討する
- 周囲の理解が得られない場合がある:親族間で事前に話し合うことが重要
直葬で後悔される方に共通しているのは「事前に家族で話し合っていなかった」ことです。費用を理由に直葬を選んだとき、後から「もっとちゃんとした葬儀にしてあげればよかった」という後悔が出ることがあります。直葬を選ぶなら、家族全員が納得した上で決断することが大切です。
直葬は全員に最適な選択ではありません。向いている人・向いていない人の違いを確認してください。
- 費用を最小限に抑えたい方
- 故人が生前「シンプルに見送ってほしい」と希望していた方
- 遺族が高齢で、長時間の葬儀に参加することが難しい場合
- 故人に親しい人が少なく、呼べる参列者がほとんどいない場合
- 菩提寺がなく、宗教的なしきたりにこだわらない方
- 菩提寺(お付き合いのある寺院)がある方
- 参列したいと希望する方が多く、後日の対応が大変になりそうな方
- 「ちゃんとした葬儀を」という強い思いがある家族がいる場合
- 社会的なつながりが多い故人の場合(会社・地域コミュニティなど)
菩提寺(代々お世話になっているお寺)がある場合は、直葬を選ぶ前に必ず確認が必要です。菩提寺のお墓に納骨したい場合、直葬(僧侶なしの葬儀)を行うと、納骨を断られる可能性があります。
菩提寺がある場合の選択肢は以下の3つです。
- 直葬を行い、事後に菩提寺へ報告・お布施をお渡しする(寺院によっては認めてもらえる場合がある)
- 直葬の際に菩提寺の僧侶を火葬炉前に呼んで読経をお願いする
- 直葬をやめ、一日葬・家族葬に切り替える
どの選択をするにしても、事前に菩提寺に相談することが最も大切です。
「菩提寺への事後報告」という選択をされた方を現場で見てきましたが、お寺によって対応はまったく異なります。柔軟に受け入れてくれるお寺もあれば、「それは困る」とおっしゃるお寺も。菩提寺が不明な場合や関係が薄い場合は、葬儀社に相談すると対処法を一緒に考えてもらえます。
直葬の全国選択率は9.6%(2024年/鎌倉新書調査)ですが、首都圏では葬儀全体の約1/3が直葬です。増加している背景には以下の社会的変化があります。
- 少子高齢化・核家族化による単身世帯の増加
- 「葬儀にお金をかけたくない」という価値観の多様化
- 参列者が少なく、大規模な葬儀が難しいケースの増加
- 新型コロナウイルス以降、少人数での見送りへの抵抗感が薄れた
- 故人が生前から「シンプルな葬儀で」と希望を残すケースが増えた
所沢市・三郷市エリアで直葬を検討している方は、地域別の費用相場・葬儀社比較・公営斎場の活用法をまとめた以下の記事もご覧ください。
- 所沢市の葬儀社を比較【2026年版】費用相場と選び方を元ディレクターが解説
- 三郷市の葬儀社を比較【2026年版】費用相場と選び方を元ディレクターが解説
- 一日葬とは|通夜なしで大丈夫?費用相場と流れを元ディレクターが解説
- 家族葬とは|費用相場・参列者の範囲・後日対応まで解説
- 無宗教葬とは|お坊さんなし・戒名なしでも大丈夫?流れと注意点を解説
Q. 直葬と火葬式は違うものですか?
直葬と火葬式は基本的に同じ意味で使われます。どちらも通夜・告別式を行わず火葬のみで故人を見送る葬儀形式を指します。一部の葬儀社では「火葬場で集合して火葬のみ行うもの(直葬)」と「葬儀社の告別室でお別れ後に出棺するもの(火葬式)」として区別する場合がありますが、一般的にはほぼ同義です。
Q. 直葬でもお坊さんを呼ぶことはできますか?
できます。直葬でも火葬炉の前でお坊さんに読経をお願いすることが可能です。希望する場合は葬儀社に伝えれば、僧侶の手配を代行してもらえます。読経の時間は5〜10分程度が一般的です。菩提寺がある場合は菩提寺の僧侶に依頼することもできます。
Q. 直葬は「非常識」だと思われませんか?
直葬が非常識というのは時代遅れの考え方になりつつあります。2024年の調査では全国で9.6%、首都圏では約1/3の葬儀が直葬です。ただし親族間で認識のズレが生じることがあるため、事前に家族でしっかり話し合っておくことが大切です。
Q. 直葬の後、後日お別れの会を開くことはできますか?
できます。直葬で見送った後、日程を改めてお別れの会や偲ぶ会を開くことは一般的に行われています。直葬に参列できなかった友人・知人・仕事関係者への対応として、後日お別れの場を設けることで遺族・参列者双方の後悔を減らせます。
Q. 直葬でも戒名は必要ですか?
直葬では戒名は不要です。戒名は仏教の慣習であり、法律上の義務ではありません。ただし菩提寺のお墓に納骨する場合、戒名がないと断られる可能性があります。菩提寺がない場合や無宗教の場合は、戒名なしで問題ありません。
直葬(火葬式)は通夜・告別式を行わず火葬のみで送る、最もシンプルな葬儀形式です。費用・時間・体力的な負担を大きく減らせる一方、お別れの時間の短さや菩提寺との関係など、事前に確認しておくべき点があります。
- 費用相場は葬儀社への費用で10万〜40万円。火葬料金(公営は市民5,000円〜)は別途
- 流れは「搬送→安置(24時間以上)→納棺→出棺→火葬→骨上げ」でシンプルに完結
- 菩提寺がある場合は必ず事前に相談する
- 家族全員が納得した上で選択することが後悔しない直葬の鉄則
直葬を選んだことを後悔した方も、満足された方も、どちらもたくさん見てきました。違いは「家族で話し合って選んだかどうか」でした。費用でも形式でもなく、家族が納得して選んだかどうかが、後悔するかどうかの分かれ目です。



「直葬にしたいのですが、おかしいですか?」と遠慮がちに聞いてくるご遺族に、何度もお会いしてきました。直葬は決しておかしくありません。故人が望んでいた、あるいは家族にとって最善の判断をした結果であれば、それが正解です。